日本物理学会と応用物理学会の両方の年次会、及び秋季大会に参加させて頂いている。
これらの学会を通じて、最近感じたことがあるので書き残しておくことにする。
物性基礎の研究をしている私にとっては、物理学会で行われる講演の方が、
個人的興味を引くものが多い(あくまで、個人的感想)。
しかしながら、物理学会の講演の方に、一つ残念に感じることがある。
それは「学生の発表のクオリティ」である。
応用物理学会での講演では、学生発表でもしっかりと研究成果を出したものを、
しっかりと発表練習して、講演の場に持ってきているように感じる。
これが物理学会での講演になると、学生発表では、研究成果がまだ出る前のものや、
ちゃんと練習をしてきていないような発表が目立つ。
この学生発表の質の違いは、それぞれの学会の雰囲気をそのまま表しているようにも思われる。
応用物理学会では、ほとんどの参加者がスーツ着用で、
また、企業からも たくさんの方が学会に参加していて、
学会がかなりフォーマルな雰囲気を持っている。
これに対して、物理学会では、ほとんどの人がスーツを来ておらず、
企業の方の参加者数も少ないように感じる。
そして、学会自体の雰囲気はゆる〜い感じのものとなっている。
この"ゆるい雰囲気"は一重に、物理屋さん達が、
「物理を理解すること、及び発展させること」 を最も大事なものとして、
その他の雑多なこと(例えば、フォーマルな服装をするなど)には、重きを置いていない
ことに起因していると思われる。(私は、このゆるい雰囲気が好きである。)
しかしながら、一部の学生(あるいはその指導教員) が、このゆるい雰囲気を勘違いしてしまって、
研究と発表の両方において、完成度の低い講演が増えてしまっているのが、
現在の物理学会の現状ではないかと思う。
物理学会は"日本の物理学"を発展させるための最も重要な基板の一つだと思う。
この物理学会の質を向上させることで、日本の物理の質を向上していってほしい。
この"日本の物理学の発展"に関する事柄として、
「JPSJ(Journal of the Physical Society of Japan)を盛り上げる」
というものがあるが、これについては、別の機会に記事にすることにする。
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